以前の記事で、役員が産休を取得した場合の社会保険料免除と出産手当金について紹介いたしました。

>>役員が産休を取得した場合の社会保険料免除と出産手当金について

今回は、役員が育休を取得した場合になります。

  • そもそも役員に育休はあるのか
  • 兼務役員ならどうか

このような産休とは少し異なる視点も必要となりますので、ぜひ読んでいただければと思います。

役員の社会保険料免除

役員は労働者ではないため、育児介護休業法が適用されません。

育児休業中の社会保険料免除は、あくまで育児介護休業法における満3歳未満の子を養育するための育児休業等(育児休業および育児休業に準ずる休業)期間が対象です。

ですので、役員が育児休業等を取得してもそれは育児介護休業法における育児休業等ではなく、社会保険料の免除は受けられないのです。

役員の育児休業給付金

育児休業給付金は雇用保険を財源とした給付で、休業中の生活保障を目的とした制度です。

役員は育休介護休業法が適用されず、また雇用保険の被保険者ではないため、育児休業給付金の対象とはなりません。

兼務役員の場合

ここまで、役員が育児休業を取得した場合は社会保険料免除も育児休業給付金も対象とならないことを紹介しました。

しかし役員には兼務役員という仕組みがあります。

兼務役員とは簡単にいえば従業員として働く役員のことです。

役員であっても同時に会社の従業員としての身分を有し、報酬等の面からみて労働者的性格の強い者であって雇用関係があると認められる場合に限り、雇用保険の被保険者となります。

兼務役員の社会保険料免除

兼務役員は労働者でもあるため、育休を取得した場合には育児介護休業法における育休に該当し、申請すれば社会保険料の免除も受けることが可能です。

兼務役員の育児休業給付金

兼務役員が育休を取得した場合には育児介護休業法における育休に該当するため、兼務役員が雇用保険に加入して要件を満たす場合には育児休業給付金の対象となります。

ただし役員報酬は育児休業給付金の金額算出のもととはならず、従業員として得ている給与のみから算出された育児休業給付金が支給されます。

まとめ

以上、今回は役員が育休を取得した場合の社会保険料免除と出産手当金について紹介しました。

通常の役員であればどちらも対象となりませんが、兼務役員として雇用保険に加入していればどちらも対象となります。

社会保険料や育児休業給付金の金銭的な影響は大きいため、もし兼務役員のような働き方をしているにもかかわらず雇用保険に加入していない役員がいるのであれば、雇用保険の加入を検討してみても良いかもしれないですね。