毎年の年度更新において労働保険料を納付するとき、一緒に一般拠出金というものを納付します。
これ、年度更新の申告書に何気なく書いてあるので、特に気にすることもなく納めている方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、
- 一般拠出金とはいったい何なのか
- 算出するときの端数処理の方法
などを書いていきます。
結論としては石綿(アスベスト)健康被害者の救済費用ですので、もし興味あれば読んでみてください。
一般拠出金とは
一般拠出金とは、石綿(アスベスト)健康被害者の救済に使われる費用になります。
アスベスト・・・なんとなく聞いたことあるけど詳しいこと知らない、という方も多いですよね。
アスベストは「せきめん」「いしわた」などと呼ばれていますが、天然にできた鉱物繊維です。
丈夫で変化しにくいため、吸い込んで肺の中に入ると組織に刺さり、15~40年の潜伏期間を経て、肺がん、悪性中皮腫(悪性の腫瘍)などの病気を引き起こすことがあります。
現在は新たに使用することは完全禁止されていますが、高度成長期に鉄骨造建築物などの軽量耐火被覆材として多く使用されており、それが現在も残っているため対策が必要となっています。
全ての労災保険適用事業場の事業主が対象
私の職場には関係ないのでは?と思う方も多いかもしれません。
しかし一般拠出金は、すべての労災保険適用事業場の事業主が負担することになっています。
アスベストは全ての産業において、その基盤となる施設、設備、機材等に幅広く使用されてきました。
そのため、健康被害者の救済に当たってはアスベストの製造販売等を行ってきた会社だけでなく、全ての労災保険適用事業主が負担することになっています。
一般拠出金の料率と算定方法
一般拠出金率、すべての業種で一律1000分の0.02となっています。
算定方法は、
前年度に労働者に支払った賃金総額(千円未満切り捨て)×一般拠出金率
となっており、労働者の負担はなく全額を会社が負担することとなります。
一般拠出金の端数処理
一般拠出金の端数処理については、小数点以下を切り捨てとなります。
一般拠出金の納付方法
一般拠出金は、労働保険料とあわせて申告・納付します。
ただし郎等保険料のような概算払い制度は採用していないため、確定納付のみの手続きとなります。
例えば、令和4年度の賃金総額をもとに算定した額を、令和5年度の年度更新(令和5年6月1日~令和5年7月10日)で申告・納付することになります。
まとめ
以上今回は、労働保険の年度更新で一緒に納める一般拠出金については紹介でした。
いくら決められてることとはいえ、何なのか分からないものにお金を払いたくない、という方も多いのではないでしょうか。
そんな方が、一般拠出金やアスベストについて理解する参考にしてもらえれば嬉しいです。