第1子の育児休業給付金と第2子の出産手当金は同時に貰うことが可能です。
あまり頻繁にある状況ではありませんが、知ってると得する可能性もありますので、今回紹介いたします。
育児休業期間
育児休業期間は、育児介護休業法より、産前産後休業や新たな育児休業が始まった場合、その前日に終了するとされています。
これは、第1子の育児休業中に第2子の産休や育休が始まるケースを想定しています。
産休は産前休業と産後休業に分けられます。
そして産前休業は労働基準法より「労働者が休業を請求した場合」に取得できるとされています。
そのため、第1子育休中の従業員から第2子産前休業の取得請求がなかった場合、第2子の出産日までが第1子の育休期間となります。
なお産後休業については取得請求がなくても産後休業を取得する義務がありますので、自動的に第1子の育休期間は終了し、第2子の産後休業が開始することになります。
もちろん第2子の産前休業を取得請求しても、休みの種類という意味では第1子の育休か第2子の産休かの違いであり、大きな意味はありません。
しかし、その期間に貰えるお金を考えると大きな意味がでてきます。
育児休業給付金と出産手当金
要件を満たせば、育児休業期間は育児休業給付金を受給することができます。
一方、健康保険の被保険者であれば出産に際して健康保険から出産手当金が支給されます。
出産手当金は健康保険法により、出産日以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産日後56日までの間において労務に服さなかった期間、支給すると定めています。
「産休を取得した期間」ではなく「労務に服さなかった期間」というのがポイントです。
なぜなら、第2子の産前休業を取得せず第1子の育児休業期間を延長して労務に服さなかった期間も、出産手当金を受給することが可能だからです。
第2子の産前休業を取得した場合、その期間、育児休業給付金は貰えず、出産手当金しか貰えません。
しかし第2子の産前休業を取得せず第1子の育児休業期間とした場合、育児休業給付金も出産手当金も貰えるのです。
まとめ
令和4年4月1日施行の改正育児介護休業法では、妊娠・出産しの申出をした労働者に対して個別の周知・意向確認の措置や、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備が義務となっています。
レアケースかもしれませんが、今回の記事のように第1子の育児休業と第2子の産前休業が重なる場合、育児休業給付金と出産手当金を併給することも可能です。
従業員が安心して出産・育児できるよう、該当するケースの場合には適切な案内をしてあげましょう。