日本では多くの会社において、福利厚生やイベントの一環として永年勤続表彰を行っています。

永年勤続表彰では、従業員への感謝の言葉とともに、金一封や記念品を贈るのが一般的です。

しかしこの金一封や記念品については、課税対象となるのか、社会保険における報酬に該当するのかといった問題も生じます。

このたび、永年勤続表彰金が社会保険における報酬等に該当するのか否かについて、その取扱いが厚生労働省より明確に示されましたので紹介します。

>>「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について

社会保険における報酬等とは

社会保険における報酬等(報酬および賞与)は、健康保険法および厚生年金保険法において「労働者が、労働の対償として受けるすべてのもの」と規定されています。

これは、労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計に充てられるすべてのものを包含するものであるとしています。

また、これについては名称等ではなくその内容に基づき判断が必要です。

もし社会保険における報酬等に該当するのであれば、算定基礎届や月額変更届などにおいて考慮する必要がでてきます。

厚生労働省による永年勤続表彰金の取り扱い

今回の厚生労働省による明示では、永年勤続表彰金について以下の通りとしています。

永年勤続表彰金については、企業により様々な形態で支給されるため、その取扱いについては、名称等で判断するのではなく、その内容に基づき判断を行う必要がある。

しかし、少なくとも以下の要件を全て満たすような支給形態であれば、恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬等」に該当しない。

ただし、当該要件を一つでも満たさないことをもって、直ちに「報酬等」と判断するのではなく総合的に判断すること。

永年勤続表彰金における判断要件

ということで、少なくとも以下の要件を全て満たす場合には「報酬等」に該当しません。

  1. 表彰の目的
    企業の福利厚生施策又は長期勤続の奨励策として実施するものであること。なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての側面が強いと判断されます。
  2. 表彰の基準
    勤続年数のみを要件として一律に支給されるものであること。
  3. 支給の形態
    社会通念上いわゆるお祝い金であること

労働保険では賃金にならない

ちなみに、労働保険においては「年功慰労金」や「勤続表彰金」は賃金に該当しないと明示されています。

労働保険の方がシンプルではありますが、社会保険と異なる扱いが必要になるケースもあり得ますので注意が必要です。