会社からの給与は、従業員の生活を支える最も大切なものであり、法律によって様々なルールが定められています。
給料の締め日や支給日についても決められていると思いますが、ではその給料日が休日だった場合はどうなるのでしょうか。
前倒しが正解?
後ろ倒しでも問題ない?
意外と会社によって様々なのですが、実は最低限のルールもありますので、今回紹介します。
賃金支払いの五原則
先ほど少し述べましたが、会社からの給与、いわゆる賃金については労働基準法において様々なルールが定められています。
有名なものとしては第24条の賃金支払いの五原則があり、
- 通貨で
- 直接労働者に
- 全額を
- 毎月1回以上
- 一定の期日を定めて
支払わなければならないと定められています。
『3.全額を』については、以前に別の記事でも触れました。
給与の支給が前倒しでも後ろ倒しでも問題ない
まず先に結論としては、給料日が土日祝日や年末年始と重なった場合、給与の支給は前倒しでも後ろ倒しでも問題ありません。
念のため『前倒し』と『後ろ倒し』について紹介すると、給料日が25日の会社において、25日が土曜日だった場合、
- 前倒し:24日の金曜日に支給する
- 後ろ倒し:27日の月曜日に支給する
このようなことを言います。
そもそも何故このようなことが問題になるかというと、多くの会社では給与を口座振込で支給していますが、金融機関は土日祝日が休みのため、給料日が土日と重なってしまうと本来の給料日に支給できないのです。
ですので、土日も従業員が出勤するような会社で給与を直接手渡ししているような会社では、何も気にする必要のない話となります。
そして、この前倒しと後ろ倒しについては法律などで定められてもいません。
ですので、給料日が土日祝日や年末年始と重なった場合に、前倒しだろうと後ろ倒しだろうと問題ないのです。
ただし、賃金に関するルールは就業規則の絶対的記載事項ですので、前倒しなのか後ろ倒しなのかは就業規則に記載しておく必要があります。
そのときによって前倒しだったり後ろ倒しだったり、変えることはできません。
翌月の支給にならないよう注意
ですが、気を付けないといけないこととして、賃金支払いの五原則の『4.毎月1回以上』があります。
つまり、もし月末を給料日としている会社で後ろ倒しとしてしまうと、支給日が翌月となってしまいます。
これは賃金支払いの五原則の『4.毎月1回以上』に違反しますので許されませんので注意が必要です。
給料を引き出せる時間
給料日と少し関連する話ですが、給料を引き出せる時間についても何か定めはあるのでしょうか。
色んな事情により、給料日の朝には引き出したいという方も多いはず。
これについて、労働基準法では時間に関する定めはないものの、労働基準監督署からは「給料日の午前10時までには引き出せるようにしなくてはならない」という通達が出ているようです。
実際には、事前に給与の振込日を指定しているような会社では、銀行の営業開始時間である9時には引き出せるようになってることがほとんどです。
インターネットバンキング等であれば給料日の0時を過ぎれば引き出せたりもしますので、これについては気にする必要ないと思います。
ただし、給料日の当日に銀行の窓口で振込手続きを行う場合は、手続きの時間によっては引き出せる時間が午後になってしまうこともあるので注意が必要です。
まとめ
以上、今回は、給料日が土日祝日や年末年始と重なった場合、前倒しと後ろ倒しどちらが適切なのかを紹介しました。
結論としては、
- 前倒し・後ろ倒しのどちらでも問題ない
- ただし就業規則等に定めておく必要がある
- 賃金支払いの五原則には違反しないように注意
となります。
基本的には会社の自由ですが、賃金は従業員の生活を支えるものであり最低限のルールはありますので、違反しないよう注意しましょう。