就業規則において定年退職の制度を設けている会社は多いです。
しかし、この定年退職は解雇に該当するのでしょうか。
もし解雇に該当するのであれば、労働基準法により様々な制限を受けることになります。
そこで今回は、定年退職は解雇に該当するのかを紹介します。
就業規則の記載内容によって変わる場合もあるため、参考にしていただければと思います。
就業規則等の規定が重要
定年退職が解雇に該当するかどうかは、就業規則等の規定において
- 自動退職事由となっているか
- 解雇事由となっているか
が重要な判断のポイントとなります。
規定において解雇事由となっている場合、労働基準法によって
- 業務上の傷病による療養のために休業している期間とその後30日間の解雇禁止
- 解雇予告手当の支払い義務
などが生じることとなります。
自動退職事由として定めてあるのであれば、こういった義務が生じることもなく、定年を迎えると当然に退職となります。
退職の慣行も重要
ただし、就業規則等の規定に自動退職事由として定めてあるだけでなく、実際の慣行も重要となります。
- 就業規則等の規定にただし書きとして業務上必要と認めた場合は引き続き雇用することがあるといった例外規定がある場合
- 過去の運用において例外的な運用が頻繁に行われている場合
こういった場合には、定年に達しても当然に契約が終了するかどうかが不確定であり、労働者も定年後の雇用を期待してしまいます。
このようなケースでは、会社は改めて労働者に対して契約解除の意思表示が必要となり、退職ではなく解雇として扱われる可能性があります。
定年退職を退職として扱うためには
定年退職をきちんと退職として扱うためには、
- 就業規則等の規定において、所定の年齢に達した場合には労働契約が自動的に終了することを明確に記載する
- 慣行としても、例外的な取り扱いはなく厳格に行われている
- これらのことが従業員にもきちんと周知されている
この三つの要件を満たす必要がありますので、注意しましょう。