社員が無断欠勤し、連絡も取れない・・・

そんな経験のある方も多いのではないでしょうか。

何日も無断欠勤を続けるようであれば当然に解雇したくなるところですが、実は無断欠勤を続ける社員を解雇したところ、裁判で不当解雇と判断されたケースもあり、その対応には注意が必要です。

そこで今回は、無断欠勤を続ける社員への対応についてまとめます。

無断欠勤についての規定

多くの会社では、無断欠勤が14日以上など一定期間を超えて就業の見込みのない者を、懲戒解雇や普通解雇とする旨を就業規則等に定めています。

欠勤自体が労務の提供という雇用契約の債務不履行であり、さらに「無断」欠勤ですので、シフト制などの計画的な就業を必要とする会社においては重い規律違反と評価されます。

無断欠勤が解雇となる日数の基準

したがって、無断欠勤が続けば当然に雇用契約の解約の正当な理由となりますが、それが何日であれば解雇が正当と評価されるような客観的な基準はありません。

ではなぜ2週間としている会社が多いかというと、

  • 民法において、期間の定めのない雇用契約を解約する場合の告知期間が原則2週間とされていること
  • 労基法において、解雇予告除外認定の制度において認定され得る事由の一例として「2週間以上正当な理由なく欠勤し、出勤の督促に応じない場合」が挙げられていること

などによるものと思われます。

無断欠勤の理由が重要

無断欠勤が続くものを解雇するにあたり、その無断欠勤の理由が重要です。

事件や事故に巻き込まれての無断欠勤なのか、それとも本人の意思や責任での無断欠勤なのかです。

しかし、無断欠勤で連絡もつかないと、その理由が判明しないことも少なくありません。

  • 家族がいれば、一緒にいなくなったのか、家族は残ってるのか
  • 独身であれば家財道具はそのまま残っているのか
  • カードローンの返済等で苦労していた状況があったか
  • 旅行や登山に行ったまま帰ってこないのか

こうした事情が少しでもわかれば、事件や事故に巻き込まれた可能性について多少は判断できるかもしれません。

事件や事故に巻き込まれた可能性が低いのであれば、本人の責任で無断欠勤しているという前提で対応を決めやすいでしょう。

事件や事故に巻き込まれていた場合

仮に事件や事故に巻き込まれている場合、2週間の無断欠勤で解雇というのはもう少し慎重な判断が必要かもしれません。

労基法上は問題ないかもしれませんが、実際問題として事件や事故の被害者を解雇していたとなれば、どこかから批判が生じるかもしれません。

  • 少し長めに1ヶ月程度様子をみたうえで退職扱いとする
  • 休職制度を利用する

などの慎重な対応が考えられます。

所在が不明な場合の解雇方法

解雇の意思表示には、きちんと相手方に到達する必要があります。

では相手方の所在が不明な場合はどのように解雇の意思表示を到達させるのでしょうか。

こういった場合、正式には簡易裁判所を通して公示送達という方法を取ります。

公示送達とは、解雇の意思表示を簡易裁判所に申し立て、意思表示の内容が裁判所の掲示場に掲示され、官報および新聞に掲載され2週間を経過したときに意思表示が到達したとみなされる手続きのことです。

しかし実際のところ、従来の住所や家族あてに解雇通知を郵送して済ませることも多く、それで問題となることも滅多にないようです。

というのも、そもそも解雇の原因となったのが無断欠勤という社員の責任ですので、その無断欠勤した社員が解雇通知の手続き上の問題を理由にして会社と争うというのは、あまり考えられないことだからです。

とはいえ後からトラブルになる可能性もゼロではありませんので、トラブルの可能性を少しでも減らすためには、公示送達という方法を取った方が良いでしょう。

まとめ

以上、今回は、無断欠勤を続ける社員への対応についてまとめました。

無断欠勤が2週間以上続いた場合は解雇と規定している会社は多いですが、事件や事故に巻き込まれた可能性を排除できない場合、規定通り2週間で解雇とするのはもう少し慎重な判断が必要です。

また、所在が不明な社員に対して解雇通知する場合には、正式には公示送達という方法があることを知っておくと良いでしょう。