労働基準法において、会社が与えなければならない休日とは週1日の休日(または4週4日)だけです。

これを上回って与えられる休日はすべて労働基準法の義務ではなくそれぞれの会社しだいであり、基本的には就業規則等によって定められます。

そして多くの会社では休日として

  • 土曜
  • 日曜
  • 祝日

を定めています。

しかし祝日を休日とする場合、定め方によっては意図したものと異なってしまうことがあるため注意が必要です。

そこで今回は、「国民の祝日」を休日として定める場合の注意点を紹介します。

国民の祝日とは

普段何気なく使う「祝日」という言葉ですが、「祝日」については『国民の祝日に関する法律』で規定されています。

この法律の第2条では、祝日を以下の通り定めています。

  • 元日    :1月1日
  • 成人の日  :1月の第2月曜日⇒2023年は1月9日
  • 建国記念の日:政令で定める日⇒2月11日
  • 天皇誕生日 :2月23日
  • 春分の日  :春分日⇒2023年は3月21日
  • 昭和の日  :4月29日
  • 憲法記念日 :5月3日
  • みどりの日 :5月4日
  • こどもの日 :5月5日
  • 海の日   :7月の第3月曜日⇒2023年は7月17日
  • 山の日   :8月11日
  • 敬老の日  :9月の第3月曜日⇒2023年は9月18日
  • 秋分の日  :秋分日⇒2022年は9月23日
  • スポーツの日:10月の第2月曜日⇒2023年は10月9日
  • 文化の日  :11月3日
  • 勤労感謝の日:11月23日

※春分の日と秋分の日は、国立天文台が毎年2月に、翌年の「春分の日」と「秋分の日」を発表しています。

以上が祝日に関する規定です。

祝日と休日の関係

次に第3条では、祝日と休日の関係について規定されています。

第3条
1.「国民の祝日」は、休日とする。
2.「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。
3.その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。

それぞれについて見てみると、

  1. 「国民の祝日」は、休日とする。
    ⇒祝日はカレンダーが赤くなってます。
  2. 「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。
    ⇒日曜日が祝日だった場合、月曜日が赤くなります。月曜日も祝日の場合は火曜日です。
  3. その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。
    ⇒祝日に挟まれた日は赤くなります。そのお陰で9月にシルバーウィークのある年も。

以上が、祝日と休日の関係です。

この中で特に2.と3.について、この規定によりカレンダーが赤くなっている日も、祝日だと思っている方が結構います。

しかしこれらの規定によりカレンダーが赤くなっている日はこの法律における「休日」であり、「祝日」ではないので注意が必要です。

「国民の祝日」を休日として定める場合の注意点

国民の祝日は、国民こぞってこれを祝うべき日として定められているものです。

しかし、必ずしもこれを会社の休日として定める必要はありません。

『国民の祝日に関する法律』において休日としていますが、これはあくまでこの法律におけるは話であり、会社としてはこれを所定休日と定めてはじめて国民の祝日が休日となります。

では、どのように定めれば良いのでしょうか。

「国民の祝日に関する法律に規定する休日」を所定休日とする

先ほども記載したとおり、国民の祝日に関する法律第3条の2項と3項の規定によりカレンダーが赤くなっている日は、祝日ではありません。

ですので、就業規則等において所定休日を「国民の祝日」と定めている場合、厳密にはこれらの赤い日は会社の所定休日とはなりません。

こうした日も含めて会社の休日とするためには、たとえば

「国民の祝日に関する法律に規定する休日」を所定休日とする

といったような定めが必要でしょう。

もちろんこういった日は会社の所定休日とはしないということであれば、それはそれで問題ありません。

しかし前述の、国民の祝日に関する法律第3条の2項と3項の規定によりカレンダーが赤くなっている日を祝日と誤解している従業員も多いため、きちんと説明する必要があるでしょう。

まとめ

以上、今回は、「国民の祝日」を休日として定める場合の注意点を紹介しました。

いわゆる祝日については『国民の祝日に関する法律』によって定められており、

  • 「国民の祝日」が日曜日に当たる場合
  • 前日と翌日が「国民の祝日」である場合

の扱いについても定められています。

しかし「祝日」と「休日」については誤解も多いため、就業規則等で所定休日に含める場合には記載内容に注意が必要です。

場合によってはトラブルの原因にもなり得るため、誤解を生まないよう、従業員にしっかり説明する必要もありますので気を付けましょう。