パートタイマーで多いのが、

  • 契約期間の途中で所定労働日数が変わった
  • そもそも所定労働日数を算出しにくい

といったケースです。

こういったケースでは、年次有給休暇を何日付与すれば良いのかが問題になります。

また、すでに付与していた年次有給休暇の日数を変更する必要があるのかも気になるところです。

このような問題に対しては行政解釈が一通り出ておりますので、紹介いたします。

年次有給休暇の比例付与について

年次有給休暇については労働基準法第39条において規定されています。

その中で、パートタイマーなどの正社員と比べて所定労働日数が短い社員の年次有給休暇の付与日数については第39条3項にて定められており、一般的には比例付与と言われています。

比例付与を簡単にいえば、正社員より勤務時間が短い社員については、その所定労働日数に比例して年次有給休暇の付与日数が決定するというものです。

上記の表を見てもらえれば分かる通り、週4日働く社員は付与日数が正社員の4/5になりますし、週2日働く社員は2/5になります。

契約期間の途中で所定労働日数が変わった場合の年次有給休暇の付与日数

このように、パートタイマーの年次有給休暇の付与日数は所定労働日数に基づいて決まります。

では契約期間の途中でパートタイマーの所定労働日数が変わった場合、年次有給休暇の付与日数についてはどのように考えれば良いのでしょうか。

比例付与は所定労働日数を基に年次有給休暇の付与日数が決まるため、契約期間の途中で所定労働日数が変わると判断に困ることがあります。

しかしそのような場合の行政解釈として、

「休暇は基準日に発生する」(昭63.3.14 基発第150号)

というものがあります。

これが何を意味するかというと、年次有給休暇の付与日における所定労働日数により付与日数が決まるということです。

ですので、契約変更後最初の年次有給休暇付与日において、その時点の所定労働日数に基づく日数を付与すれば良いということになります。

年次有給休暇付与日の直前に所定労働日数が1日から5日に増えたとしても、所定労働日数は5日として年次有給休暇の付与日を決定する必要があります。

実際にこういったケースにあたると、会社としてはなんとなく損した気がするかもしれません。

しかし全く逆のケースにあたる可能性もありますので、損得は気にせずルール通りの運用を心がけましょう。

契約期間の途中で所定労働日数が変わった場合の付与済みの年次有給休暇の取扱い

では契約期間の途中で所定労働日数が変わった場合、すでに付与した年次有給休暇の日数についてはどう取り扱うのでしょうか。

所定労働日数が増えたのであれば、追加で年次有給休暇を付与する必要があるのでしょうか。

これも考え方は同じで、

「休暇は基準日に発生する」(昭63.3.14 基発第150号)

であり、それ以外で増やしたり減らしたりはしません。

たとえ週の所定労働日数が5日から1日に減ったとしても、すでに付与した年次有給休暇の日数は減らないのです。

逆に、週の所定労働日数が1日から5日に増えたとしても、追加で年次有給休暇を付与する必要はありません。

所定労働日数が決まっていない場合

業種や働き方によっては、所定労働日数を確定させるのが難しいケースもあると思います。

そういったケースでは、年次有給休暇の付与日数はどのように決定するのでしょうか。

「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」(平16.8.27基発0827001)という通達においては、次のような取り扱いの行政解釈が示されています。

「非定型的パートタイムヘルパー等について、年次有給休暇が比例付与される日数は、原則として基準日において予定されている今後1年間の所定労働日数に応じた日数であるが、予定されている所定労働日数を算出し難い場合には基準日直前の実績を考慮して所定労働日数を算出することとして差し支えないこと。したがって、たとえば、雇い入れの日から起算して6か月経過後に付与される年次有給休暇の日数については、過去6か月の労働日数の実績を2倍にしたものを「1年間の所定労働日数」とみなして判断することで差し支えないこと。」

つまり、今後1年間の所定労働日数を確定させるのが難しい場合には、過去半年であったり1年間から「1年間の所定労働日数」を算出し、比例付与の日数を決定するということになります。

まとめ

以上、今回は、パートタイマーが契約期間の途中で所定労働日数が変わった場合の年次有給休暇についての紹介でした。

パートタイマーは所定労働日数に基づいて年次有給休暇の付与日数が決まるため、途中で所定労働日数が変わると判断に困るかもしれません。

しかし基本的には、年次有給休暇の付与日における所定労働日数に基づいて付与すれば、他のことは気にする必要がありません。

こういったケースではどうしたら良いの?などあれば、気軽にお問い合わせください!