雇用保険においては、令和2年の法改正により、氏名変更に伴う単独の手続きは不要となりました。
しかし実際のところ、氏名変更のみの手続きが必要となる場合もあります。
そんなとき、どのようにして続きを行えば良いのかを今回は紹介いたします。
他の届出や申請と併せて氏名変更の手続きを
先ほども書いたとおり、雇用保険においては氏名変更に伴う単独の手続きが不要です。
そのため会社は、雇用保険の被保険者の氏名が変更になったとき、その被保険者について他の届出や申請が必要になった際に併せて氏名変更の手続きを行うことになります。
具体的には、
- 雇用保険被保険者資格喪失届
- 雇用保険被保険者転勤届
- 高年齢雇用継続基本給付金の支給申請
- 育児休業給付金の支給申請
などの届出用紙や申請用紙には氏名変更の記載欄もあり、併せてその欄に変更後の氏名を記入するだけで氏名変更の手続きは完了です。
単独での氏名変更手続きが必要となる場合
しかし実際のところ、単独での氏名変更手続きが必要となる場合も存在します。
言い換えると、上記のような他の届出や申請を待たずして氏名変更の手続きが必要となるケースがあります。
それが、教育訓練給付の受給です。
教育訓練給付とは
教育訓練給付とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に受講費用の一部が支給される制度です。
看護師や保育士、税理士や社会保険労務士など、様々な資格を取得するための講座が指定を受けています。
また、専門学校の課程や大学院での学位取得においても支給を受けられたりします。
教育訓練給付は在職中でも受給が可能
そしてこの教育訓練給付は、在職中であっても受給が可能です。
離職後の受給であれば、雇用保険被保険者資格喪失届の手続きの際にあわせて氏名変更の手続きを行います。
しかし在職中に受給しようと思うと、氏名が変更になってから他の手続きが発生していないケースが多いのです。
そうして正式な氏名と雇用保険上の氏名が異なると、教育訓練給付を受給できないという問題が発生します。(ハローワークによっては対応が異なるかもしれません)
そこで、単独での氏名変更手続きが必要となるのです。
助成金の申請においても
また、これは必須ではないのですが、助成金の申請においても氏名変更の手続きを行っておいた方が良い場合があります。
様々な助成金がありますが、その多くは対象労働者に関する要件が存在します。
その対象労働者が、正式な氏名は変更となっているものの雇用保険上の氏名がまだ変更なっていない場合、審査において「これ誰?」となってしまいます。
もちろん追加資料を提出することで問題ないとは思いますが、事前に単独で氏名変更手続きを済ませておくことでスムーズに進めることができます。
単独での氏名変更手続きの方法
ではどのようにして氏名変更手続きを単独で行うのでしょうか。
これが意外と簡単で、現在はもう法改正により存在しない届出用紙ですが、「雇用保険被保険者資格喪失届・氏名変更届」に氏名変更の内容を記載して提出するだけです。
添付書類としては、氏名変更が確認できる、運転免許証やマイナンバーカードの写しがあれば大丈夫です。
ただし電子申請はできませんので、直接ハローワークの窓口に行くか郵送する必要があります。
なお、こちらは一番ベーシックな方法であり、ハローワークによっては別の方法でも対応してくれるかもしれません。
ですので、まずはハローワークに問い合わせてみることをオススメします。
氏名変更手続きが完了すると
ちなみに氏名変更手続きが完了すると、変更後の氏名での
- 雇用保険被保険者証/氏名変更届受理通知書(被保険者用)
- 氏名変更届受理通知書(事業主通知用)
- 資格喪失届
が発行されますので、大切に保管しておきましょう。
まとめ
以上、今回は、雇用保険について氏名変更の手続きを単独で行う方法を紹介しました。
今後はマイナンバーで全てまとめて済ませる方向なのでしょうが、現状はまだそこまで至っておらず、少し中途半端な状態です。
もし教育訓練給付の受給等で氏名変更の手続きを単独で行う必要が生じた場合には、添付した「雇用保険被保険者資格喪失届・氏名変更届」をダウンロードして使用していただければと思います。