10月になり、いよいよ最低賃金が変更になりました。

今年度は全国平均で40円以上も上がるということで、会社にとってはかなり影響が大きいです。

また、岸田総理の話では2030年度半ばまでに最低賃金を1,500円まで引き上げるとのこと。

この目標を達成するためには平均で毎年50円近く最低賃金を上げる必要があるため、今後もこの流れは続きそうです。

ところで、最低賃金について金額の部分だけ注目されがちですが、会社にはその最低賃金を労働者に周知する義務があることをご存じでしょうか。

ただ最低賃金を守っているだけでは足りず、違反した場合には罰則もあります。

そんなわけで今回は、最低賃金の周知義務について紹介します。

最低賃金法による最低賃金の周知義務

最低賃金については、最低賃金法で定められています。

そんな中で、第8条には以下のような規定があります。

(周知義務)
第8条 最低賃金の適用を受ける使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならない。

また、最低賃金法施行規則において、労働者に周知しなくてはならない事項が定められています。

法第8条の規定により使用者が労働者に周知させなければならない最低賃金の概要は、次のとおりとする。
一 適用を受ける労働者の範囲及びこれらの労働者に係る最低賃金額
二 当該最低賃金において算入しないことを定める賃金
三 効力発生年月日

周知義務に違反した場合

最低賃金法においては、最低賃金の周知義務に違反した場合の罰則についても定めています。

第41条 次の各号の一に該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
一 第8条の規定に違反した者(地域別最低賃金及び船員に適用される特定最低賃金に係るものに限る。)
二 第29条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
三 第32条第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした

上記の一号が周知義務についてです。

最低賃金の周知方法

では、最低賃金についてどのように周知すれば良いのか。

基本的には就業規則等と同じで、

  • 常時各作業場の見やすい場所に、掲示・備え付ける。
  • 書面で交付する。
  • 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずるものに記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できるような機器を設置する。

こういった方法によります。

まとめ

以上、今回は、最低賃金の周知義務と罰則、そして周知方法についてまとめました。

最低賃金は、金額を守るだけでなく周知する義務があるということを知っておき、各職場において適切な方法で周知するようにしましょう。