令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されるのにあわせ、厚生労働省からモデル労働条件通知書が公開されています。

今般、令和5年10月12日の厚生労働省からの通達において、一部具体的な取扱いが通知されましたのでお知らせいたします。

>>労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令等の施行等について(無期転換ルール・労働契約関係の明確化等)

また厚生労働省のサイトにてQ&Aが公開され、モデル労働条件通知書も更新されました。

>>令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます

「就業規則を確認できる場所や方法」の欄が追加に

モデル労働条件通知書は以前より公開されていますが、4月の改正に対応したものより「就業規則を確認できる場所や方法」の欄が追加になっています。

就業規則については労働基準法第106条により、

  1. 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
  2. 書面を労働者に交付すること。
  3. 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

このいずれかの方法によって労働者に周知させなければならないとされています。

この就業規則の周知については、令和4年12月27日付け労働政策審議会労働条件分科会報告「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)」において、

就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等、就業規則を必要なときに容易に確認できるようにする必要があることを明らかにすることが適当である。また、就業規則の更なる周知の在り方について、引き続き検討することが適当である。

とされていました。

このことを踏まえ、今回の令和5年10月12日付け厚生労働省発の通達において、就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すことにより、就業規則を労働者が必要なときに容易に確認できる状態にする必要があるとしました。

モデル労働条件通知書への欄の追加は、この通達に対応するためのものになります。

まとめ

今回の「就業規則を確認できる場所や方法」欄の追加は、労働基準法や施行規則の改正によるものではありません。

あくまで厚生労働省の通達改正によるものです。

しかし労働者のことを考えれば、何かあったときに就業規則を確認できる場所がすぐに分かるというのは良いことでしょう。

会社としても、労働条件通知書に記載しておくことで、何かトラブルがあったときに就業規則の周知について争う可能性が低くなります。

ですので法令上の義務ではありませんが、特別な事情が無い限りは、モデル労働条件通知書のように「就業規則を確認できる場所や方法」の欄を設けた労働条件通知書を使用することをオススメします。