健康的にあまり良いことではありませんが、残業(時間外労働)が午前0時を超えて翌日に及ぶことがあります。

この場合、時間外労働はどのように取扱えば良いのでしょうか。

また実は、この翌日が平日の場合と休日の場合とでは取扱いが異なってきます。

あまり頻繁に起こることではなく知らない方も多いと思うので、今回紹介いたします。

残業(時間外労働)が翌日に及んだ場合

平日の残業(時間外労働)が午前0時を超えて継続した場合の取扱いは、その翌日が平日であるか休日であるかによって異なります。

まず平日だった場合ですが、労働基準法の「1日」の考え方について行政解釈によると、

「1日」とは原則として、午前0時から午後12時までのいわゆる「暦日」をいうが、勤務が延長され、終業時刻が翌日に及んだようなときには、継続勤務としてたとえ暦日を異にする場合でも一勤務として取り扱うべきであるから、終業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働と解する

とされています。(平11.3.31基発168)

したがって、時間外労働により2暦日にまたらぐ勤務を行った場合でも、全体を前日の勤務時間として取り扱うこととなり、午前0時で分離することはできません。

翌日の始業時刻に及んだ場合

残業(時間外労働)が更に翌日の始業時刻まで及ぶことも、まれにあると思います。

その場合は、翌日の始業時刻以降は翌日の勤務として取扱うことになります。

したがって、割増賃金は、前日の法定時間を超えたところから翌日の所定始業時刻までの間の労働時間については時間外労働が支払われます。

また午後10時から午前5時なでの深夜部分については、別途深夜業の割増賃金が支払われます。

残業(時間外労働)が休日に及んだ場合

一方で、翌日が休日の場合はどのように取扱うのでしょうか。

この休日が法定休日ではなく所定休日であれば、労働基準法上は残業(時間外労働)が休日に及んだとは考えませんので、前日の労働時間として通算することになります。

しかしこの休日が法定休日である場合は考え方が異なり、午前0時以降の勤務はたとえ前日からの継続勤務であったとしても、休日労働として評価されます。

これは休日に関する法規制には労働時間の法規制とは別の要素があり、いわゆる暦日の午前0時から午後12時までの間を休日と評価するという考え方が貫かれるためです。

このため法定休日の午前0時以降の労働は、前日の時間外労働としてではなく休日労働として割増賃金が支払われることになります。

まとめ

以上、今回は、残業(時間外労働)が深夜から翌日や休日に及んだ場合の取扱いについて紹介しました。

翌日が平日か休日か、休日であれば所定休日か法定休日かで取扱いが異なります。

この取扱いを間違えると給与の支払いにも影響がでるため、正確な取扱いを心がけましょう。

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