会社として従業員に懲戒処分をおこなった際、社外や社内に公表することがあります。

しかし公表する場合、気を付けないと従業員の名誉を毀損したと判断されてしまうこともありますので、今回は懲戒処分を公表するにあたって注意すべき点を紹介します。

懲戒処分を公表する目的

会社が懲戒処分を公表する目的として、会社の秩序維持が挙げられます。

会社が問題行動を処分したことを示すことで、他の従業員に対しても規律意識を高めることができます。

決して問題社員に対する報復や見せしめを目的として公表することのないよう注意しましょう。

そういった目的の公表の場合、名誉毀損と認定される可能性が高くなります。

懲戒処分の公表に就業規則上の根拠規定は必要か

まず、懲戒処分を社外や社内に公表するにあたり就業規則上の根拠規定は必要なのでしょうか。

結論としては、懲戒処分の公表に就業規則上の根拠規定は必要ありません

もちろん、就業規則に公表の規定があること自体が、企業の秩序維持につながるのは間違いありません。

しかし根拠規定がなければ公表できないわけではありませんので注意が必要です。

懲戒処分を公表する場合は名誉毀損に注意

懲戒処分の公表について、名誉毀損とならないように注意するポイントは大きく3つあります。

  • 社外には公表しないこと
  • 公表の期間を最低限にすること
  • 被害者保護の観点

社外には公表しないこと

過去の裁判においては、懲戒処分が有効とされたものの、懲戒処分に関する事実を取引先に文書で通知したことは名誉毀損だとして不法行為に該当すると判断した裁判があります。(東京貨物社(解雇)事件:東京地判平12.11.10)

また、懲戒処分に関する事実を一般の買い物客が閲覧できる場所に掲示したことを、名誉毀損の損害額の算定にあたって考慮したものもあります。(ロピア事件:横浜地判令1.10.10)

社外への公表は名誉毀損となるリスクが高まることから、懲戒処分の公表は社内にとどめるべきです。

そして社内で公表するにしても、公表資料等には「社外秘」と記載するなど、社外に開示しないよう明確に表示しておくべきでしょう。

公表の期間を最低限にすること

また、社内での懲戒処分の公表であっても、公表の期間が不当に長ければ違法と評価されるリスクは高まります。

前述のロピア事件では、名誉を毀損するとして不法行為該当性が認められたものの、掲示期間が2週間にとどまっていたことを損害額の算定にあたって考慮しています。

社内での公表にあたっても、1~2週間程度にとどめることが安全ではないでしょうか。

被害者保護の観点

加えて、懲戒処分の事実をどこまで公表するかについては被害者保護の観点からも検討を要します。

例えば、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントの場合、公表の際に事実を詳細に記載しすぎると被害者が特定されてしまうおそれがあります。

ですので、懲戒処分の公表にあたっては被害者保護という観点も注意する必要があります。

まとめ

以上、今回は懲戒処分の公表について紹介しました。

懲戒処分の公表自体は問題なく、就業規則等の規定も必要ありませんが、

  • 社外には公表しないこと
  • 公表の期間を最低限にすること
  • 被害者保護の観点

などに気を付けないと名誉毀損とされるリスクがあります。

もし懲戒処分の公表について何か気になることがありましたら、まずは気軽にお問い合わせください。